国語には「読む」「聞く」「話す」「書く」の4つの領域がありますが、この中で最近特に「聞く」力が弱くなってきているといわれています。テレビなどヴィジュアルを中心にしたメディアにより、しっかり聞き取らなくても事足りることが多くなっているからでしょう。とくに小さい子どもたちへの影響は深刻で、「聞く」経験をたくさん持っていない子どもは、「人の話が聞けない」「聞いてもイメージできない」ことになり、それは「理解できる語彙」を増やせないということに直接つながってくるわけです。
「語彙」が少ないとなれば、わかるように「話す」ことも難しくなり、それより高次元の語彙操作である「読む」「書く」に至っては、ほんとうに簡単なレベルでしか行うことができなくなるでしょう。いわゆる「テレビっ子」たちが成長して大学生となり社会人となったときに、ほんとうに恐ろしいのは「分数がわからない」ことよりも「ことばがわからない」ことではないでしょうか。そうならないためにも、子どもたちにまず「聞く」経験をたくさん与えたいと思います。
さて小さなお子さまの「聞く」力を養う代表的な方法としては、「歌」と「読み聞かせ」をあげることができるでしょう。「歌」は国語教材群の一番最初に提出されていることを見てもわかるように、国語学習のスタートとして位置付けられているものです。
日常生活の中で出会ういろいろな場面に適した歌を、歌い聞かせたり親子で一緒に歌ったりすることで、子どもたちは日本語独特のリズムや語感をごく自然に身につけていくことができます。もちろん歌はメロディを伴っているので、日本語のことば遣いそのものを覚えていくことも容易にできるのです。くもんのすいせん図書5A1には「うたの絵本(1)」が入っています。CDもありますので、ぜひ楽しみながら「聞く」力を高めていっていただきたいと思います。
「読み聞かせ」は、どんな本を、どのように読み聞かせるのかといったことにとらわれずに、本を読み聞かせることを通して親子の心の交流が生まれ、楽しい読書経験をたくさん得続けることこそが何より大切なのです。テレビはスイッチをいれることさえできれば、ごく小さな子どもでもひとりで見られますが、本はまわりにいる大人の仲立ちなくしては子どもに届きません。またテレビは場面を一々とめられませんが、本はお気に入りのページを心ゆくまで見ることができますし、親子で本の世界を広げていくことさえできるのです。ここで使われる道具は、親子で交し合う「ことば」だけです。
親が本を読み、子どもが思ったことをことばに出し、親はそれをきちんと聞いて子どもにていねいに返す。「読み聞かせ」におけるキー・ワードは、むしろ親が子どものことばを「聞く」ということかもしれません。聞いてあげることで、子どもも相手のことばにしっかり耳を傾けるようになるのです。楽しい「読み聞かせ」を通して豊かな時間を増やしていくとともに、聞いてイメージする力を育んでいかれることを願ってやみません。







